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欧州のTPO規制から考える、これからの「自爪育成」〜その爪の輝き、10年後も安心ですか?〜

ネイル トピックス
saki

ネイリストとして日々お客様の爪と向き合うなかで、「TPOフリー」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

2025年9月、EUでTPO配合のジェルネイル製品が全面禁止に。

この動きは、単なる海外の話では終わらないと私は感じています。

この記事では、TPO規制の背景と日本の現状を整理しながら、ネイリストの視点から「これからの安全な爪育成」について考えます。

10年後も美しく健やかな自爪でいるために、今知っておきたいことをお伝えします。

Contents

EUで「TPO配合ジェルネイル」が禁止へ

欧州 TPO規制 自爪育成 

近年、ネイル業界でも「成分の安全性」に対する意識が世界的に高まっています。

その中で今、大きな話題となっているのが「TPO(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)」という成分についてです。

EU(欧州連合)は2025年9月1日より、このTPOを含むジェルネイル製品の販売・使用を全面的に禁止しました。

ジェルネイルが禁止になるの?

今回の対象はジェルネイル全体ではなく、“TPOという特定成分”です。

TPOとは?

欧州 TPO規制 自爪育成 

TPOとは、ジェルを硬化させるために使用される「光重合開始剤(フォトイニシエーター)」の一種です。

UVライトやLEDライトに反応することで、ジェルがしっかり固まる仕組みを支えています。

特にTPOは、

  • 少ない光でも硬化しやすい
  • 硬化スピードが早い
  • ツヤや発色が良い
  • 仕上がりが安定する

といったメリットがあり、多くのジェルブランドで使用されてきました。

なぜEUでは禁止されたの?

欧州 TPO規制 自爪育成 

EUが問題視したのは、「長期間・高濃度で曝露した場合の生殖毒性リスク」です。

動物実験において、

  • 生殖能力への悪影響
  • 胎児への影響

などの可能性が示唆されたことから、EUでは「予防原則」に基づき規制が決定されました。

つまり、

「現時点で明確な健康被害が確認されていなくても、少しでも有害の可能性があるものは制限する

という考え方です。

安全のためってことですね。

そのため2025年9月1日以降、EU加盟27か国に加え、スイス・ノルウェーでもTPO配合製品の販売・使用は禁止となりました。

サロンでの使用停止だけでなく、既存在庫の処分まで義務付けられています。

海外ブランドの対応も進行中

欧州 TPO規制 自爪育成 

この流れを受け、海外の主要ブランドではすでにTPOフリー化が進んでいます。

例えば、

  • Manucurist
  • Aprés Nail
  • OPI

など、多くのブランドが処方変更を進めています。

英国でも2026年までに同様の規制が行われる見込みとされています。

一方で、アメリカなど一部地域では現在も合法であり、国によって対応は異なっています

日本ではどうなっているの?

欧州 TPO規制 自爪育成 

現時点(2026年5月現在)で、日本国内ではTPOに関する法的規制はありません

厚生労働省による使用禁止措置もなく、現在も販売・使用は合法です。

また、日本ネイリスト協会(JNA)も、EUの対応について「予防的措置」であると説明しており、日本国内で直ちに使用を中止する必要はないという見解を出しています。

国によって対応は様々だけど、安全を重視する日本が、規制していないのは意外ですね。

ただし、ネイル業界全体としては「より安全性を重視した製品選び」への流れが強まっています。

日本メーカーの対応状況

欧州 TPO規制 自爪育成 

日本国内でも、特に海外展開を行うメーカーを中心にTPOフリー化が進んでいます。

KOKOIST

世界基準への対応を早くから進め、「TPOフリー」への切り替えを表明。
「ボトルンゴー」シリーズなど、すでに多くの製品でTPO不使用を実現しています。

ネイル工房

セルフネイラーにも人気のメーカー。
こちらもTPOフリー製品の展開を進めています

タカラベルモント

国内使用は問題ないとしつつも、グローバルな規制動向を注視しているとされています。

「安全を選ぶ」という新しい基準

欧州 TPO規制 自爪育成 

現時点では、日本国内でTPOが危険と断定されているわけではありません。

しかし世界では今、「問題が起きてからではなく、起きる可能性があるなら先に見直す」という流れが加速しています。

そのため最近では、

「新しくジェルを選ぶならTPOフリーを選びたい」

というネイリストさんやセルフネイラーさんも増えてきました。

まだ、知らない人も多いのかも知れませんね。

成分を知ることは、不安になるためではなく、“安心してネイルを楽しむため”の大切な知識のひとつ。

これからのネイル業界は、デザイン性だけでなく「安全性」も選ばれる時代になっていくのかもしれませんね。

ジェルネイルと「ダスト問題」。今、改めて考えたい安全性のこと

欧州 TPO規制 自爪育成 

ジェルネイルを取り扱うサロンでは、以前から避けて通れない問題があります。

それが「ネイルダスト」です。

ジェルオフやフィルインの際に発生する削りカスは非常に細かく、施術者もお客様も、知らず知らずのうちに吸い込んでしまっていると言われています。

あまり気にしていませんでした…。

近年話題になっている「TPO(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)」の規制問題もあり、今あらためて“施術環境そのもの”の安全性が注目されています。

ネイルダストは想像以上に細かい

欧州 TPO規制 自爪育成 

ジェルネイルやアクリルネイルを削る際に出るダストは、非常に微細な粉塵です。

そのため、

  • 鼻や喉への刺激
  • 呼吸器への負担
  • アレルギーリスク

などが以前から指摘されてきました。

特に毎日施術を行うネイリストは、長時間・長期間にわたりダストに曝露されやすい環境にあります。

これは深刻な問題です。

さらに現在は、EUで規制対象となったTPOのような化学成分についても関心が高まっており、

「どんな成分を使っているか」

だけでなく、

「それをどんな環境で削っているか

まで重要視される時代になっています。

フィルインなら安心…とは言い切れない?

欧州 TPO規制 自爪育成 

近年、多くのサロンで取り入れられているのが「フィルイン(ベース一層残し)」という技術です。

これはベースジェルを完全に削り落とさず、一層残したままデザインチェンジを行う方法で、

  • 自爪への負担軽減
  • 過度なサンディング防止
  • 爪を薄くしにくい

といったメリットがあります。

私も毎回フィルインしています!

そのため「爪を傷めにくい施術」として人気があります。

しかしここで、一つ考えたいポイントがあります。

もし、そのベースジェル自体にTPOが含まれていた場合はどうでしょうか?

ベースを残しても、成分曝露(ばくろ)はゼロにはならない

欧州 TPO規制 自爪育成 

フィルインは“自爪への負担軽減”には有効ですが、“成分リスクを完全に避ける方法”ではありません

理由は大きく2つあります。

① 削る時にダストを吸い込む

フィルインであっても、浮きや表面は必ず削ります

その際に発生するダストにTPOが含まれていれば、微細な粉塵として空気中に舞い上がり、吸い込む可能性があります。

つまり、

「ベースを全部オフしていないから安全」

とは言い切れないのです。

② 成分が常に爪の上に存在している

フィルインではベースジェルを残し続けるため、TPO入りのベースが長期間爪に密着した状態になります。

経皮吸収は極めて微量とされていますが、近年は「長期的な化学物質への曝露そのもの」を見直す動きも広がっています。

日本でも規制される日が来るかもしれませんね。

そのため現在は、

「フィルインをする・しない」

よりも、

どんな成分のジェルを選ぶか

が重要視され始めています。

ばく露(曝露)

有害なガスを含んだ空気中にさらされ、呼吸等を通じて体内に有害物質を摂取してしまう状態を「暴露する」と表現しています。

今、増えている「TPOフリー」という選択

欧州 TPO規制 自爪育成 

現在、多くのネイルメーカーでは「TPOフリー化」が進んでいます。

特にプロ向けブランドでは、

  • フィルイン対応
  • 高密着
  • 高耐久

といった性能を維持しながら、TPOを使用しない新処方への切り替えが進行中です。

利用者には、何を使用しているかまで分からないところですね。

そのため最近では、

これから新しく導入するジェルはTPOフリーを選ぶ

というサロンも増えてきました。

また、現在フィルインを継続している場合でも、新しく継ぎ足すジェルをTPOフリー製品へ切り替えることで、数ヶ月かけて古い部分が徐々に削り落とされ、最終的には爪の上すべてをTPOフリーへ移行していくことも可能です。

安全にジェルネイルを楽しむためにできること

欧州 TPO規制 自爪育成 

現在、より安全な施術環境づくりとして重要視されているのは次のような対策です。

集塵機(ダストコレクター)の使用

施術中に舞い上がるダストを強力に吸い取る機械です。

今ではプロサロンだけでなく、セルフネイルでも導入する方が増えています。

マスクの着用

高性能な不織布マスクなどを使用し、ダスト吸入を物理的に防ぐ方法です。

最も現実的で効果的な自衛策のひとつと言われています。

適切なオフ・適切な施術

必要以上に削らない施術方法を選ぶことも大切です。

フィルインもその一つですが、あわせて“使用成分”にも目を向ける必要があります。

「爪に優しい」と「成分が安全」は別の話

欧州 TPO規制 自爪育成 

フィルインは、自爪を守るための優れた技術です。

しかし、

  • 爪へのダメージ
  • 成分の安全性
  • ダスト環境

これらはそれぞれ別の問題として考える必要があります。

ネイリスト・利用者どちらにも影響がある問題ですね。

今後のネイル業界では、

「ただ長持ちする」
「ただ傷みにくい」

だけではなく、

どんな成分を使い、どんな環境で施術するか

まで含めて選ばれる時代になっていくのかもしれません。

TPOがこれまで広く使われてきた理由

欧州 TPO規制 自爪育成 

ここまで読むと、

「そんなリスクがあるなら、なぜ今まで使われていたの?」

と思われる方もいるかもしれません。

TPOは、

  • 硬化スピードが非常に速い
  • 黄ばみにくい
  • 発色が美しい
  • 操作性が良い

という非常に優秀な特徴を持っていました。

一見、いいこと尽くしです。

そのため、多くのジェルブランドで採用されてきた背景があります。

現在は、その性能を維持しながら、より安全性の高い新しい光開始剤の開発が世界中で進められています。

これからのネイルは「美しさ+安全性」

欧州 TPO規制 自爪育成 

ネイルは、毎日肌に触れ、長時間身につけるもの。

だからこそ今、

「かわいい」だけではなく、
安心して続けられるか

という視点も大切になっています。

安心して長く使い続けたいです!

もし気になる場合は、

  • サロンで使用しているジェル
  • 集塵環境
  • TPOフリー対応状況

などを確認してみるのも良いかもしれません。

これからのネイル業界は、技術だけでなく“安全性への配慮”も含めて進化していきそうですね。

「自爪育成」の時代が変わる?

欧州 TPO規制 自爪育成 ネイルケア

自爪育成サロンが増える中、EU規制や成分への意識の高まりをきっかけに、業界は今まさに転換期を迎えています。

ここからは、

  1. ジェルで補強しながら育てる
  2. ネイルケアだけで地爪から育てる

という二つのスタイルの違いと、それぞれのメリット・課題を整理。

これからの時代に、サロン選びや提供する価値をどう考えるか、良かったら参考になさってください。

ジェル育成サロンと、完全ネイルケア育成サロンの“分かれ道”

欧州 TPO規制 自爪育成 ネイルケア

近年、「自爪育成」という言葉を掲げるサロンが急増しています。

しかし今、EUでのTPO規制や、化学物質への意識の高まりによって、“自爪育成”というジャンルそのものが大きな転換期を迎えているように感じます。

これからは、

  • ジェルを活用しながら育成するサロン
  • ネイルケアのみで地爪を育てるサロン

この二つが、より明確に分かれていくのかもしれません。

① ジェルで「補強」しながら育成するサロン

現在、多くの“自爪育成サロン”で採用されているのがこちらのスタイルです。

ジェルの厚みで爪を補強し、

  • 折れにくくする
  • 噛み癖やむしり癖を防ぐ
  • フォルムを整える
  • 長さを維持する

ことで、美しい爪へ導いていく方法です。

特に、

「すぐに見た目をきれいにしたい」
「仕事柄、爪が弱くて伸ばせない」

という方には非常に相性が良く、即効性もあります。

爪が薄くてすぐ折れちゃうけど、ジェルをしてから、長さをキープできるようになりました!

しかし、今後は“安全性”がより重要に

その一方で、ジェルを使用する以上、避けて通れない課題もあります。

それが、

  • TPOなど成分への不安
  • ジェルオフ時のダスト問題
  • 長期的な曝露リスク

です。

特に今回のEU規制をきっかけに、

「そのジェル、何が入っていますか?」

という視点を持つお客様は確実に増えていくと思われます。

最近、ジェルの成分が気になってきて…。サロンに聞いたら、しっかり説明してくれて安心しました。

そのため今後、ジェル育成サロンには、以下のように安全性をどれだけ可視化できるかが求められる時代になりそうです。

  • TPOフリー製品への切り替え
  • 集塵機の導入
  • マスク着用
  • フィルイン技術の向上
  • 成分開示の透明性

② ネイルケアのみで「地爪から育てる」サロン

一方で、もう一つ注目されているのが、

薬剤に頼らず、自爪そのものを健康に育てる

というネイルケア中心のサロンです。

こちらは、

  • オイルケア
  • 甘皮処理
  • 保湿
  • 爪の使い方指導
  • ホームケアアドバイス

などを通して、“爪の体質改善”に近い形で育成していくスタイルです。

薬剤を使わなくても、ケアと習慣を変えるだけで、爪って本当に変わるんですよ。

最大の強みは「化学物質リスクがほぼゼロ」であること

ジェルやアクリルを使わないため、TPOオフによる負担などの心配がほとんどありません。

妊活中なので、なるべく化学物質は避けたくて。ケアだけで通えるサロンを探していたんです

そのため近年増えている、

  • オーガニック志向
  • ナチュラル志向
  • 健康意識の高い層
  • 妊娠・出産を意識する世代

からの支持は、今後さらに高まる可能性があります。

ただし「即効性」はジェルに劣る

その反面、完全ネイルケア育成には時間がかかります。

ジェルのように、

「一回で見違える」

という変化は出にくいため、

  • カウンセリング力
  • 爪の知識
  • 生活習慣アドバイス
  • 継続サポート

など、ネイリスト側の人としての技術がより重要になっていきます。

すぐには『変化が感じられない』と思われるかもしれませんが、3ヶ月後の変化には驚かれる方も多いです!

単なる施術者ではなく、

伴走型のケアアドバイザー

のような役割が求められるのかもしれません。

これからは「どちらが正解か」ではなく、“選ぶ時代”

欧州 TPO規制 自爪育成 ネイルケア

これまでは、

「ジェル=きれいになるもの」

という認識が一般的でした。

しかし今後は、

自分は何を優先したいのか?

によって選ぶ時代になっていきそうです。

ジェルかケアか、どっちがいいか迷っていたんですが、自分の優先したいことを整理したら、自然と答えが出ました。

安心・安全を重視する人

「成分が気になるから、時間がかかってもネイルケアだけで育てたい」

見た目や時短を重視する人

「安全対策や成分開示をしっかりしているジェルサロンを選びたい」

今回のTPO問題が投げかけたもの

欧州 TPO規制 自爪育成 ネイルケア

今回のTPO問題は、単に“ひとつの成分規制”というだけではなく、

サロンは何を価値として提供していくのか?

を問い直す、大きなきっかけになっているように感じます。

  • 美しさなのか
  • スピードなのか
  • 安全性なのか
  • 健康なのか
  • 心地よさなのか

これからのネイル業界は、“デザインを提供する場所”から、ライフスタイルや価値観に寄り添う場所へ変わっていくのかもしれませんね。

こちらのブログは、5/26に更新しますので、ブックマークしてお待ちください。

参考リンク

日本ネイリスト協会(JNA)による案内はこちら
EUにおけるTPO成分を含む化粧品の販売禁止の報道に関して

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