マグネットネイルを楽しむ前に知っておきたいこと ― 医療現場から見るネイルの安全性
サロンだけでなく、ご自宅でのセルフネイルでも取り入れる方が増えてきた「マグネットネイル」。見る角度によって光がゆらめき、奥行きを感じさせる輝きが魅力で、いま注目度の高いデザインのひとつです。
ただ、デザインの美しさを楽しむのと同時に、「どんな成分が使われているのか」「どういった特性があるのか」を知っておくことも大切なポイントだと感じています。
というのも、病院での検査や思いがけない受診の場面で、実はネイルが関わってくることがあるからです。

知らないでマグネットネイルをしていました…。
今回は、マグネットネイルの魅力に加えて、医療の現場で意識しておきたい点までを一緒に見ていきたいと思います。
Contents
マグネットネイルについて

マグネットネイルとは、ごく細かい鉄粉(磁性粒子)を配合した専用ジェルやポリッシュを爪に塗布し、固まりきる前に磁石を近づけることで、模様や光の筋を浮かび上がらせるデザイン手法のことです。

インスタでもよく見かける流行りのネイルですね!
マグネットネイルの特徴と魅力

マグネットネイルの魅力は、見る角度や光の当たり方によって輝く位置や表情が変わること。
奥行きのある立体的なきらめきが最大の特徴です。
磁石の当て方をアレンジすれば、斜めに走る光のラインや、指先側にグラデーションのように光を集めたデザイン、中央に光を集めてビー玉のように仕上げる「うるうるネイル」など、表現の幅は多彩です。

磁石を当てる角度をちょっと変えるだけで表情がガラッと変わるので、何度やっても飽きないデザインなんです♪
凝ったアートを施さなくても、光の効果だけで立体感や華やかさを演出できるのも嬉しいポイント。ワンカラーでも十分に存在感のある仕上がりになります。
ジェルだけじゃない!マニキュアタイプのマグネットネイルも

マグネットネイルというとジェルタイプのイメージが強いかもしれませんが、実はマニキュア(ポリッシュ)タイプも数多く販売されています。
仕組みはジェルタイプとほぼ同じで、液の中に含まれる細かな磁性粒子(鉄粉)に、乾ききる前に磁石を近づけることで模様を描き出します。
マニキュアタイプの特徴

マニキュアタイプは、ジェルネイルのようにUV/LEDライトで硬化させる工程が不要で、自然乾燥だけで仕上げられるのも特徴のひとつです。
除光液を使えばオフもスムーズなので、急な検査や手術が必要になった場合でも、比較的短時間で地爪の状態に戻せるという点は覚えておくと安心です。
ちなみにジェルタイプは磁石を当てたあとライトで硬化させるまで模様をキープできますが、マニキュアタイプは乾き始めると粒子が動かなくなってしまいます。
そのため、塗ったらすぐに磁石を当てるスピード感のある作業がポイントになります。

そのぶん、塗ってすぐ磁石を当てる「スピード勝負」感も、マニキュアタイプならではの楽しさかもしれません♪
最近では100円ショップ(キャンドゥやセリアなど)やバラエティショップでも手に入りやすく、気軽に楽しめるアイテムになってきています。
魅力的な反面、見過ごせないリスク

マグネットネイルの輝きやデザイン性には大きな魅力がありますが、その一方で取り扱いや日常生活の中に潜むリスクもいくつか存在します。
ご自宅でセルフネイルとして楽しむ場合や、材料を保管する際には、こうした注意点をあらかじめ知っておくことが安全につながります。

ここでは、マグネットネイルの美しさだけでなく、知っておきたいリスクについてまとめています。
磁石そのものの危険性から、精密機器や医療機器への影響、セルフネイルで起こりやすいトラブルまで、具体的な注意点が分かる内容です。
安全に楽しむためのポイントもあわせてご紹介するので、これからマグネットネイルを試したい方、すでに楽しんでいる方はぜひご覧ください。
強力な磁石(マグネットスティック)による危険

磁性粒子を動かすために使う「ネオジム磁石」などの強力な磁石には、注意しておきたいリスクがいくつかあります。
小さな磁石を複数、あるいは磁石と金属を一緒に誤って飲み込んでしまうと、腸の壁を挟み込むように引き合って、腸閉塞や穿孔(穴があくこと)といった重い事故につながるおそれがあります。
特にお子さまやペットがいるご家庭では、保管場所に気を配ることが大切です。

手の届かないところに保管しないと!
また、強い磁石同士が勢いよく引き合った拍子に指などの皮膚を挟んでケガをしたり、磁石そのものが割れて破片が飛び散ったりすることもあります。
精密機器・医療機器への影響

日常生活の中や医療機関での検査の場面では、磁石そのものや、爪に残った鉄粉がトラブルの原因になることもあります。
MRI検査は非常に強い磁気を利用する検査のため、爪に鉄粉(マグネット粒子)が残っていると磁場が乱れて画像がぼやけたり、鉄粉が急に発熱して爪にやけどを負うリスクが指摘されています。
そのため医療機関によっては、検査前にネイルを完全にオフするよう案内されることがあります。

サロンでオフすることを考えると、ジェルの場合はつける前によく考えないとですね。
また、ネイル用の強力な磁石をスマートフォンやパソコン、腕時計、クレジットカード(磁気ストライプ)などに近づけすぎると、データが壊れたり磁気不良を起こしたりすることもあるので注意が必要です。
セルフネイルにおける衛生・施術トラブル

ジェルネイル全般に共通する注意点ではありますが、マグネットネイル特有の塗り方からくるリスクもあります。
粒子をきれいに動かすために、通常のベースカラーよりもジェルを厚めに塗ることが多く、その分ライトに入れたときの「硬化熱」が強くなりやすい傾向があります。

硬化熱が強いと、爪や指先にやけどのような痛みを感じることがあるようです。
さらに、厚塗りや施術の仕方によってジェルが浮きやすくなると、自爪との間に水分がたまり、そこで細菌(緑膿菌)が繁殖して爪が緑色に変色してしまう「グリーンネイル」の原因になることもあります。
安全に楽しむために

使い終えた磁石は、お子さまやペットの手が届かない、鍵のかかる場所や高い位置に保管しておくと安心です。
病院でMRI検査を受ける予定がある場合は、事前にマグネットネイルを完全にオフしておくようにしましょう。
また、ジェルを一度に厚塗りしすぎないようにしたり、ライトの出力を調整したりすることも、硬化熱を防ぐうえで役立ちます。

ちょっとした心がけで防げるリスクも多いので、正しく知って安心して楽しんでもらえたら嬉しいです♪
なお、病院での検査という視点で見ると、マニキュアタイプのマグネットネイルも「鉄粉」を含んでいる点ではジェルタイプと変わりません。
ただ、いざというときにその場で、あるいは売店で買った除光液ですぐオフできるという点では、ジェルタイプよりも安心感の高い選択肢と言えそうです。
本記事は一般的な情報としてまとめたものです。MRI検査など医療機関を受診される際は、事前にネイルの有無をお伝えいただき、指示に従ってオフをお願いいたします。ケガや事故が心配な場合は、専門家や医療機関にご相談ください。
クリアジェルにも金属が含まれていることがある

「透明だから金属は入っていない」と思われがちですが、実はクリアジェル(ベースジェル、トップジェル、ミキシングジェル、ビルダージェルなど)の中にも、製品によっては酸化チタンなどの金属酸化物が配合されているものがあります。
見た目が透明であることは、金属成分が含まれていないことの証明にはならないのです。

「透明だから安全」と思われがちなクリアジェルにも、実は金属成分が含まれていることがあるという意外な事実をまとめています。
紫外線対策の成分から、成分表示が分かりにくい製品の注意点まで、なぜ病院がクリアなネイルでも慎重に確認するのか、その理由が分かる内容です。
普段クリアやシンプルなデザインを選んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
紫外線カット・黄ばみ防止のための金属成分

多くのクリアジェル、とりわけトップジェルには、時間の経過による爪の黄ばみを防ぐ目的で「UV散乱剤」が配合されていることがあります。
このUV散乱剤として、白く濁らない程度まで超微粒子化(ナノ化)した「酸化チタン」や「酸化亜鉛」といった金属酸化物が使われているケースもあるようです。

透明なのに金属が入っているなんて、意外ですよね。
見た目には無色透明でも、成分として金属粒子を含んでいる可能性があるため、磁場や電磁波を扱うMRIなど病院での精密検査においては、リスクが完全にゼロとは言い切れない、という点は知っておきたいところです。
「雑貨品」ジェルにおける成分の不透明さ

プロ向けの信頼できるメーカー品であれば全成分が表示されていますが、セルフネイル用として流通している安価なクリアジェル(雑貨品扱いのもの)の中には、成分表示がはっきりしない製品も見られます。
粘度を調整するための材料や、容器由来のごく微量な金属成分が溶け出している可能性、あるいは海外製の場合は日本の化粧品基準では想定されていない成分が含まれている可能性も否定できません。

気になる方は、成分表示がしっかりしているメーカー品を選ぶと安心かもしれません。
病院側としては、そのクリアジェルに実際何が使われているかをその場で一つひとつ確認する手立てがないため、念のため一律にオフをお願いする、という対応にならざるを得ない事情があるようです。
見た目では判別できない「密着を高める成分」

ベースジェルの中には、自爪との密着性を高めるために、特殊な酸や金属塩に近い成分でアプローチし、定着させるタイプのものもあります。

透明だからと安心しきれないところが、悩ましいですよね。
こうした製品も見た目は透明ですが、医療機器が発する電磁波にどのように反応するかは、はっきりとは分かっていません。
病院が「クリアでも念のため確認する」理由

病院、特に放射線科が気にかけているのは、やけどのリスクだけではないようです。
爪先というごくわずかな金属成分であっても、磁場が乱れて頭部や体幹の画像にノイズが入り、「検査画像の歪み(アーチファクト)」が生じることで、小さな病変を見落とす一因になりうると言われています。
また、手術や麻酔の際には、爪に光を当てて血中酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」が使われます。ジェルが光の波長を遮ったり乱反射させたりすることで、正確な数値が測れなくなるおそれがあるとされています。

普段何気なく塗っているクリアジェルにも、こんな理由があったんですね。
「透明だから安全」とは、必ずしも言い切れないというのが実情のようです。こうした背景を知っておくと、「医療検査の前はネイルを完全にオフしてください」とお伝えすることの意味が、より深く理解できるのではないでしょうか。
本記事の内容は一般的な情報としてまとめたものであり、製品ごとの成分や安全性を保証するものではありません。使用されている製品の詳しい成分については、各メーカーにご確認ください。医療機関を受診される際は、事前にネイルの有無をお伝えいただくことをおすすめします。
急な受診・検査に備えて知っておきたいこと

今の医療現場では、ジェルネイルが広く普及していることを前提に、「ジェルネイルをしている患者さんへの対応方法」を整えるガイドライン作りが進められています。
ネイリストが「いざというときはジェルネイルをしていることを伝えてくださいね」とお客様に案内するのは、病院側にその状況に応じた対処法があるからこそなんです。

急な受診や検査が必要になったとき、ジェルネイルをしていても病院側でどのような対応をしてもらえるのかをまとめています。
血中酸素濃度の測定方法やMRI検査での工夫など、具体的な対処法を知ることができる内容です。
あらかじめ知っておくと、いざという時にも落ち着いて対応できそうですね。
パルスオキシメーター(血中酸素濃度)の測定対策

以前は「ネイルをしていると測定できない」と言われることもあったようですが、今は機器や測定方法の工夫によって対応が進んでいます。

測定方法の選択肢が増えているのは、ちょっと安心できるポイントですよね。
指先がジェルで覆われている場合には、耳たぶ(耳介)や足の指に専用のセンサーを装着して測定する方法があります。また、ジェルを通しやすい波長を使ったセンサーや、額に貼るタイプのセンサーを導入している病院も増えてきているそうです。
MRI検査での対応

MRI特有の「画質の乱れ(アーチファクト)」や「発熱」のリスクについても、病院側でのリスク管理や手順づくりが進んでいます。
例えば膝や腰、脳の検査では、爪が検査の中心部(コイルの中)に入らないよう、手を上げた姿勢で固定したり、断熱材や氷で指先を保護したりする対策を取る病院もあるそうです。

検査の内容によって、こんなに細かく対策されているんですね。
また、技師や看護師が事前に「ジェルネイル、特にマグネットやラメの有無」を確認し、画像の乱れが許容範囲かどうか、熱のリスクがどの程度かを評価したうえで検査を進める体制も整いつつあるようです。
「いざという時」に伝えることの重要性

ネイリストが「伝えてくださいね」と声をかけるのは、正直なところ、病院側が耳での測定や手の固定など、状況に応じた代替策を選べるようにするためです。
反対に避けたいのは、患者さん側が「透明だから大丈夫だろう」「言ったら怒られるかもしれない」と黙ってしまうことだと言われています。病院側が必要な対策を取れないまま検査のミスやトラブルにつながらないよう、事前に伝えてもらうことが医療安全の面でとても重視されているようです。

「伝えてくださいね」のひと言が、いざという時の安心につながるんです。
実際に、こうした声かけを日頃からお伝えするようにしています。
検査まで時間がある場合は

検査を控えていて、まだ時間に余裕がある場合は、オフのタイミングも含めてサロンの予約を調整し、あらかじめ備えておくのがおすすめです。
私自身は普段、自爪で過ごしていますが、以前、透明のトップコートだけを塗っていた際にも、検査前にすべてオフするよう案内されたことがあります。あらかじめ知っていれば対応できることも、知らなかったために慌ててしまうこともあるので、こうした情報は知っておいて損はないと感じています。

知っているかどうかで、当日の余裕が変わってきそうですね。
現場の声として、1分1秒を争う救命救急の場面では、マニキュアかジェルネイルかを見極める時間すら惜しい、という話を耳にしたことがあります。通常の検査入院でも医療スタッフは多忙なため、できるだけスムーズに対応できる状態が望ましいようです。
コロナ禍の際にも話題になりましたが、酸素飽和度を測れるジェルかどうかを一つひとつ確認する時間すら惜しいというのが、現場の実情だという声もあります。中には、やむを得ずネイルを削り取って対応したという話を聞いたこともあり、アセトンや除光液を探す時間さえ惜しまれる場面もあるようです。
本記事でご紹介した対応方法は病院や施設によって異なります。検査や受診の予定がある場合は、事前に医療機関へネイルの有無やオフの要否をご確認いただくことをおすすめします。
マグネットネイル以外にも、医療現場で困っていること

実はマグネットネイルに限らず、ネイル全般が「爪の状態を見づらくすること」「機器の作動に影響すること」「衛生・安全面のリスク」という3つの点で、医療現場の悩みの種になっているようです。
病院側の受け入れ体制は整いつつあるものの、現場スタッフの間には依然として気がかりな点が残っているといいます。

マグネットネイルに限らず、ネイル全般が医療現場でどのように影響するのかをまとめています。
爪から読み取れる健康状態のサインや、検査・手術時に起こりうる問題、衛生面でのリスクまで、医療従事者が気にかけているポイントが分かる内容です。
ネイルを長く安全に楽しむために知っておきたい視点として、ぜひ参考にしてみてください。
爪の色から得られる健康情報が見えにくくなる

実は爪の状態は、医師や看護師が全身の健康状態を把握する手がかりのひとつになることがあります。
心臓や呼吸機能が低下すると、血液中の酸素が不足し、爪の下の皮膚(爪床)が青紫色を帯びる「チアノーゼ」という症状が見られることがあります。

爪ひとつでこんなことが分かるなんて、奥が深いですね。
そのほか、軽く爪を押さえて赤みが戻るスピードを確認する「毛細血管再充満時間(CRT)」のチェックなど、脱水や貧血の兆候を爪から読み取る診察方法もあるようです。ネイルによって爪全体が隠れてしまうと、こうしたサインを見逃しやすくなる懸念があります。
加えて、緑膿菌が原因のグリーンネイルや、爪の下に潜む悪性腫瘍(悪性黒色腫など)がネイルによって隠され、発見が遅れてしまう可能性も指摘されています。
精密検査や手術時の問題

手の手術や骨折時の撮影など、検査部位が爪に近い場面では、マグネットやラメ、パーツに使われている金属成分がCTやレントゲンの画像にノイズ(アーチファクト)として映り込み、診断の精度を下げてしまうことがあるようです。

画像に写り込んでしまうことがあるとは、知らないと見落としがちですね。
手術中に電気メスを用いる場合は、体に流した電流を逃がす経路が確保されていますが、爪に金属成分が残っていると、そこに電流が集まってやけどを引き起こす可能性はゼロとは言えない、とされています。
パーツや長さによる衛生・安全面の問題

長さのある爪や立体的なパーツ、ストーンや3Dアートの隙間は、洗浄や消毒をしっかり行っても菌やウイルスが残りやすい部分と言われています。
特に免疫力が下がっている入院患者さんの周りでは、これが院内感染の要因として懸念されるケースもあるようです。

長さやパーツを控えめにしておくだけでも、いざという時の安心感がぐっと変わりそうですね♪
そのほか、救急搬送や介護の場面で、長い爪や尖ったパーツが医療スタッフの手袋を傷つけたり、ご本人の皮膚を傷つけたり、点滴などのチューブに引っかかって抜けてしまったりする危険性も挙げられています。
技術が進んだ今も、変わらない「シンプルな爪」への願い

対応方法やガイドラインの整備が進んだことで、ネイルをしているというだけでその場で診察を断られるケースは、以前より少なくなってきているようです。

技術が進歩しても、やっぱり「もしも」に備えておくのが一番安心かもしれません。
それでも医療現場で働く方々の本音としては、万が一の場面に備えて、爪はできる限り何もついていない状態か、すぐに落とせるマニキュア程度にしておいてほしい、というのが正直なところのようです。
本記事は一般的な情報としてまとめたものであり、特定の医療機関や個別の症例における対応を保証するものではありません。爪の状態に関するご不安や、ご自身の健康に関するご心配がある場合は、医療機関にご相談ください。
最後に

この記事を書いた一番の理由は、ジェルネイルやマグネットネイルについて、皆さんにもう少し詳しく知っていただきたいと思ったからです。
ネイルを長く安心して楽しむためには欠かせない情報である一方、サロンの現場ではなかなか触れる機会がないテーマなのではないかと感じています。
この記事が、どなたかにとって少しでもお役に立てば幸いです。

これでネイルの安全性についての全5回シリーズは完結です。最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
福島市 ネイルケアサロン スプレース
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